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中部の新進企業
NPOバンク momo
持続可能な地域社会を実現するお金の流れをつくりたい

  あなたは「NPOバンク」という団体があるのをご存じだろうか。収益性ではなく、地域性や社会性などを基準に審査を行い、資金を融通する非営利目的の銀行のことで、現在、国内には9つが存在している。そのなかの1つ、東海地区初のNPOバンクとなったのが「コミュニティ・ユース・バンクmomo」だ。

  「コミュニティ・ユース・バンクmomo」の代表理事を務める木村真樹さんは、元々地方銀行の行員だった。2001年、大学を卒業した木村さんは地域貢献の理念を胸に地銀に就職。しかし、当時はおりしも平成不況の真っ直中。不良債権を抱え、体力に余裕の無い銀行は地域貢献どころか、中小企業への貸し剥がしを余儀なくされていた時代だった。
 「自分が思い描いていた仕事とは違い、銀行員をずっと続けるイメージはどうしても持てなかった」
 理想と現実の間で思い悩む日々。出した答えは銀行を辞め、NPO活動に身を投じることだった。そうして25歳で単身上京。NPO団体「A SEED JAPAN」の事務局長に就任し、環境問題などに取り組んだ。NPOバンクの存在を知ったのはこの頃だ。
 当時、木村さんは「エコ貯金」というプロジェクトに参加していた。これは自分の預けたお金の流れを見ていくことで、その先に与える影響を考えようというもの。このプロジェクトのなかで出資で資金を募り、それを環境や地域のために活動するNPOなどに融資する団体があることを知った。
 「自分の果たすべき役割が見えた気がしました。今までやってきたことが全て繋がったというか」
 こうして自らもNPOバンクを設立することを決意。1年間の準備期間を経て、2005年の10月に「コミュニティ・ユース・バンクmomo」を立ち上げた。
 木村さんには同団体を設立するときにこだわったことがある。それは地域に根ざした活動を行う事業に融資を実行することだ。地方から都市へとお金も人も流出していくなか、持続可能な地域を実現する。お金や物をその地域のなかで循環させる地産地消の仕組みを実現させることが木村さんの、そして「momo」の理念になっている。
 現在、メンバーはボランティアで参加する約15名。20代から30代といった若い世代が活動の中核を担っている。事業審査や与信について、若いメンバーだけでは不安に思われるかもしれないが、そこは税理士や会計士などの専門家を顧問に加えることで、足りない経験を補っているそうだ。出資者は130名を超え、出資金も1300万円が集まった。8月には岐阜県郡上市で活動する団体「こうじびら山の家」に対し、「momo」として初の事業融資を決定した。
 この団体は郡上の自然に魅せられた神戸出身の若者が立ち上げたもので、同じように郡上にずっと住みたいと思う人たちに、働く場所や住む場所を提供する拠点づくりに必要な資金を融資することに。この融資を決定するまでに、木村さんはメンバーと何度も審査について話し合い、現地の視察を実施。融資決定後には出資者と事業者に交流してもらうなど、丁寧な対応を続けてきた。
 「私たちは出資者に対し、配当を出すわけじゃない。それだけに預かったお金をどこに融資するかは非常に責任を感じます」
 銀行員時代は融資するお金を銀行のものだと感じていたが、「momo」を設立したことで出資者から預かっているお金の重みをより実感したそうだ。実はNPOバンクによる融資で貸し倒れはほとんど発生していない。それは人と人が向き合うことで顔の見える関係を築いているからだと木村さんは語る。
 お金という無機質な物を通じて人と人が繋がる。夢が繋がる。未来が繋がる。そこにNPOバンクの存在意義があるのだろう。