SERIES
本のつまみ

キャノンのCSR戦略
理想を実現する
「共生」の経営


著者 佐久間健 
発行 生産性出版

 CSR(企業の社会的責任)経営が叫ばれて久しい。
 欧州企業にとってCSRは彼らの企業哲学の一環であり個としての農業従事者、労働者をはじめ地域社会、社会全体にとっての価値を創出していくことが伺えられよう。
 本書は、第1章企業理念「共生」と理想実現型企業キャノン、第2章キャノンCSRの土台を作った御手洗毅の理想主義をはじめ第3章「賀来龍三郎「第二創業」と企業理念「共生」、第4章山路敬三の共生とCSR、第5章フェーズT御手洗富士夫の共生とCSR、第6章フェーズU御手洗富士夫の真のグローバルエクセレントカンパニーの全6章より構成されている。
 第1章ではキャノンが強い理由を自由闊達な社風で人を尊重し実力主義をともなう終身雇用により社員も安心して仕事に取り組めることなどを指摘している。
 第2章では新家族主義による労務政策と経営、品質第一主義、キャノンの社会貢献活動、海外市場の開拓などについて紹介している。
 第3章ではグローバル社会におけるキャノンの在り方と存在意義である共生についての考察を示した。
 第4章では賀来龍三郎のあとを受けて社長に就任した山路敬三が環境経営を確立した姿を活写した。
 第5章、第6章では御手洗富士夫社長が社長就任からのグローバル優良企業グループ構想フェーズTの5年間とフェーズUの5年間を描いた。
 継続して高収益を上げている世界有数の優良企業であるキヤノンを通じ真のCSRとは何かを歴代社長の経営に対する考え方を中心に具体的に丁寧に解説されている。経営者・管理職は勿論、ビジネスマンにも読んで欲しい一冊。
 歴代社長の経営理念の段階的特性をしっかり捉え今日に至るまでなぜ発展し続けることが可能か、今日的課題を鋭くとともにこれからの会社のあり方への思いが随所に見られる。
 著者は早稲田大学卒業後、電通PRセンターに入社。営業本部長を経て退職後、コミュニケーションズ戦略研究所代表取締役に就任。著書に「トヨタのCSR戦略」などがある。

実録!
一攫千金のカラクリ
人は働かないで
メシが食えるか?


編者 星野陽平 
発行 イースト・プレス

 「“あの泥棒が羨ましい”2人のあいだにこんな言葉がかわされるほど、そのころは窮迫していた」の書き出しで始まる「二銭銅貨」は江戸川乱歩のデビュー作として余りにも有名だ。欲望の源泉である金が労せずして手に入る仕組みはあるのだろうか。
 巷間“儲け話には裏がある”とは良くいわれることだがうまい話に騙される人は後を絶たないようだ。
 本書は、人は投資だけでメシが食えるか?―みんなが夢見る「下流脱出!」のカラクリ、ビジネス雑誌が書けない「儲け話」のしくみ―実体験レポート!「裏ビジネス」のカラクリ、裏ビジネス業界“タブー事件史” ―一般庶民を幻惑した「おいしい話」のカラクリの3部構成から成る。
 第1部人は投資だけでメシが食えるか?では「シストレをやってみたらこうなった」が白眉。自動的に儲かると言われるシステムトレードについてレポート。シストレ専用ソフトを使えば複雑な条件式を組んだり過去データから簡単に勝率を予測できるが、或る時を境に利益は上がるどころか下降線をえがくようになったと述懐している。
 第2部ビジネス雑誌が書けない「儲け話」のしくみでは「A41枚で1億円!」―濡れ手で粟の「情報起業」のカラクリが興味を惹く。最近は流行りのアフェリエイトプログラムでは実名と写真を出して相手を信用させた後、自己のサクセスストーリーを苦労話を織り交ぜながら展開し、売るべきものの証拠、実績を示した上で限定販売と銘打ってプレミアム感を創出するのが手口だそうだ。
 第3部裏ビジネス業界“タブー事件史”ではマルチまがい商法秘話のなぜ「出資法違反事件」はなくならないのか?―八葉、ジーオー、「円天」のビジネスモデルに引っかかる理由では健康食品・グッズ、宝石、浄水器といった比較的大人しめの商材を使った儲け話から未公開株、FXなどについて言及している。
 経済記者ら10人がペンネームだからここまで書いた儲けの手口だから迫力があり成功する人、失敗する人の分かれ道はどこにあるのか。投資するか、しないかは、あなた次第の本だ。