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未然に防ぐ
豊田市で5月、自転車で帰宅途中だった女子高生が殺害される事件が起きた。口に粘着テープを何重にも巻かれ、顔には激しく殴られたあとがあったという。
事件当日も、学校で普段通りの笑顔を見せていたという生徒の様子を聞くと、突然の凶行に襲われた瞬間の驚き、恐怖、悲しみは、いかほどだったかと胸が痛くなる。
県警は不審者情報の洗い出しをするなど、犯人逮捕に向け全力をあげているが、今回、同時に考えなければならないのは「事件を未然に防ぐことはできなかったのか」という点だろう。
実は、今回の事件現場から半径10km以内では4月下旬、自転車で帰宅途中の女子高生が襲われる事案が2件、相次いでいた。幸いにも大事に至らなかったとはいえ、警察は特別な対策を講じず、記者発表もしなかった。
これらの事案が、今回の殺人事件と関連があるかどうかは分からない。県警幹部も「夜道で若い女性が襲われる事案はいたる所で起きていて、個別に対策することは難しかった」と話す。しかし、警察が十分な注意喚起を図り、パトロール強化していれば、との思いはぬぐえない。
限りある人的資源をいかに振り分けるかは難しい問題だが、今回の捜査本部が置かれた豊田警察署では事件後、再発防止を目的としたパトロール強化を、近隣署や市教委と実施している。
同様の課題は我々、報道する側にもある。殺人事件が起きて初めて、別の女子高生が帰宅中に襲われた、といった事案が新聞やテレビでよく扱われるようになる。注意喚起の面からいえば後手に回っていることは否めない。マスコミには、限られた紙面や放送時間を最大限有効に使う責任がある。
より重要なのは「事件解決」ではなく「はじめから事件が起きないこと」であると、警察も我々も改めて肝に銘じなければならない。(う)
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