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今回の記事は、8月5日現在、刑事事件として捜査が続いているため、会社名や個人名、事の詳細などは記述できないことを了解してもらいたい。
まずは昨年10月である。
A社長は名古屋地検刑事部に21億円の土地取引をめぐって不動産会社E社のK社長を詐欺と業務上横領容疑で告訴に及んだ。
前々から事情を知る俺からみても、確かにこの土地取引の顛末は“事件”といえた。しかし結果から言えば、この告訴案件は地検から県警組織犯罪対策課に下され、満を持して「絶対に事件にする」と豪語していたデカからは、最近「事件にはならない」と実に不可思議な返事がA社長に寄せられた。その舞台裏を辿ろうか。
事件の舞台は名古屋栄のど真ん中。松坂屋とパルコ前の大津通りの西側で今年3月に閉店した老舗料亭“蓬莱”の裏側だ。バブル絶頂期の20年ほど前も、この一角に地上げ屋が殺到した、いわくつきの場所である。大物ヤクザの事務所もあった。
事は3年前の5月31日に遡る。
栄三丁目にある337坪の土地の所有者A社長は、戦後の名古屋の立志伝中と言われた事業家の孫が経営するEという会社に1坪約630万円、総額21億円で売った。しかしこの売買はやがて常軌を逸した集団的詐欺事件に発展することになる。
前述のように土地代金は21億円。その内訳は、10億円の現金と11億円の手形(7億円と4億円の手形2枚)だった。土地取引で手形決済などそうそうある事ではないがA社長はE社の手形の決済能力を少しも疑わず、それどころかと共同で再開発計画をするというE社の話にのめり込んで行く。
だからE社が提案した、特定目的法人を設立して資金を集め、その金で手形は決済できるという話にも、何ら疑いもなく乗った。
事業資金を集めるために株券や債券を発行して資金を集めやすくするというSPC法。企業にとっては事業単位で資金を集められる方法だが、そこには意外な落とし穴もある。資金だけ集める巧妙な詐欺が横行しやすいのだ。その事をA社長はあまり知らなかったようだ。
売買契約から3カ月後の8月になりE社側は、共同開発事業に本格的に協力してほしいという名目で土地代金以外にさらに9億円の手形をA社長に渡すのだ。この手形の存在はA社長を取り込み信用させた、決定打になっただろう。
E社が振り出した20億円手形。3枚の手形の結末をみれば、ここで行われた悪質な犯罪が明らかになる。売買契約時の7億円と4億円の手形はやがて手形ブローカーたちに巧妙に詐取された?、のだが、どういう訳か2枚の手形はほどなくしてE社側の顧問弁護士の手元に戻った。
また9億円の方は決済日の朝になって銀行でほぼ強引に繰り戻させられる始末だった。一つ一つの手口の記述は省くが、E社は結局1円も決済しないまま土地の所有権をあっという間に奪った上に東京のR社に転売、するとR社はペーパーカンパニーH社に転売、ここでH社は外資系金融機関から数十億円もの資金を融資さ
せたのだ。
ここまでくると完全に乗っ取り以外の何物でもないだろう。
A社長は騙された、巧妙かつ卑劣な連中によって。
例えば、件の7億円(平成17年9月30日期日)と4億円(同12月30日期日)の2枚のことだ。これも経過は省くが、2枚の手形は一時的に詐取されたが、なぜかE社の顧問弁護士が詐取後早々とサルベージに加担していた。
またこの弁護士は昨年3月に入ってからこの土地売買の和解工作に走っている。しかも当事者A社長を外して数種類の合意書が作成されていた。弁護士の一連の所業が指弾されるのは、これからである。
俺がA社長から相談を受けたのは、栄三丁目の土地に怪しげな土地ブローカーが暗躍していると耳にしてからかなりの時間がたってからだ。取り返しのつかないほど事態が悪化していた。
俺は、何度も刑事告訴をすすめた。しかし民事優先を考えていたA社長は、昨年10月になって漸く告訴に及んだが目下捜査中とはいうものの事件は棚上げ状態になった。
20億円ものカラ手形をめぐってさまざまなワルが跋扈した、幻の再開発詐欺事件の登場人物は、E社のK社長、E社の顧問弁護士、売買後に入ってきた前科詐欺師F、手形ブローカーのU、千種の女
占い師、できもしない仮処分で数千万円の弁護士費用を一括で受取った東京の弁護士などなど…の犯罪的行為はやがて白日のもとに曝け出されるに相違ない。
その一歩になるだろうが、前科詐欺師Fは近々、別件の横領罪などで刑事告訴される予定だ。
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